さて。
2022年3月、見切り発車wでスタートした「てとて分室 縁側」。
『走りながら考える』をモットーに、
マイナーチェンジを繰り返しながら営業しています。
ギャラリーのラインナップも、実はまだまだ。
一気に品揃えを充実する余裕がないのが実情ではありますが、
じっくりとモノ選びをする時間だけはあります。
【川越せんべい店(青森県おいらせ町)】
黒ごまが散りばめられた、香ばしいきつね色。
パリッと割ると、ふわりとバターの香りが漂って…。
「何これ、めっちゃおいしい…!」
南部せんべいラバー(自称)の自分も驚いた、
それが川越さんの「バターせんべい」との出会いでした。
明治6年創業、今年で創業149年を数える
川越せんべい店さんは、青森と岩手にまたがる
南部せんべい店のルーツともいえる歴史を紡いてきたお店。
現店主は5代目で、まったくの異業種から
家業を継ぐ決意でおいらせ町に戻ってきた方です。
情熱と同じくらい強いのが、
南部せんべいという地域の食文化への敬意。
お店のリーフレットには縄文時代にまでさかのぼる
この地域の粉食文化について記しているほど。
先日、初めてお店に伺ってきました。
工房に置かれているのは、地元の石で作られた巨大な石窯。
入れ口に置いた生地は、長い長い石窯の中を通りながら
ゆっくりと火が通っていきます。
火加減は天気や粉の具合で、何度も何度も調整。
焼き方の教えは「焦げるギリギリ直前まで火を通す」。
そうすることで粉っぽさが消えて、小麦本来の味わいと
香ばしさが感じられるようになるのだそう。
奥様のなおこさんから、
焼きたてのマメせんべいをいただきました。
「冷めたのとは、ちょっと違った味なんですよ」。
ほんとだ!豆より先に小麦の味が口の中に広がる!
昨年、改装したばかりの店内はとてもお洒落。
伝統をきちんと守りつつ、新しい世代にも南部せんべいを
身近に感じてもらえるような店づくりです。
お店だけじゃないの、
材料も国産小麦に瀬戸内海の塩と吟味。
なかには、交流のある農家さんが作っている
農薬不使用の小麦や、スペルト小麦なども使っています。
ちなみに「バターせんべい」に使用しているのは
よつ葉バター。焼き菓子ならともかく、
南部せんべいでは考えられない贅沢な材料です。
初代から5代目まで、それぞれの時代を代表する
南部せんべいが楽しめます。
5代目の代表作は、写真左の「福みみSEMBE」。
南部せんべいの耳が食べたいというファンの声に応えて
耳をたっぷり残したごませんべいです。
サクサクっとした本体、カリッカリのみみ、
そして香ばしい黒ごまの香りがブワ〜〜と広がります!
歴代の代表的おせんべを詰め合わせた
「五代味くらべ」。入荷していたらぜひお試しを!
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モノを通して、作っている方の工夫や思いを伝えたい。
そんなことを考えながら、自分の感覚を頼りに
あちこちから探し当ててきた、おいしいものたち。
これからも、少しづつ増やしていきます。
【おいしい縁側】、まだまだ続きますよ〜!