【しごと】走り続けた人の、夢のバトン-地から

【しごと】走り続けた人の、夢のバトン-地から

「地から」は岩手県内の食にまつわる人や出来事に
じっくり向き合い、ほんとうに大事な部分を『ふわり』とすくいとって
美しい写真とともに紹介しているミニコミ紙です。
編集人のサトウさんに声をかけて頂き、時おり参加してきました。

その最新号となる「地から 4号」が、
2020年の6月についに発売となりました。

今号のテーマは
「あいつ、菌活はじめたってよ。」
あの青春群像劇ではなく、きのこが大好きな大人たちの物語。
岩手が、これほどきのこ愛にあふれた地とは。刮目。

そんなページの片隅に、わたくしも書かせていただきました。


この方を、ご存知でしょうか。
一部の方には「入道」というお名前でお馴染みかもしれません。

一昨年まで、盛岡市の東、松園と桜台の間くらいにあった
直売所「小さな野菜畑」を経営していた、小島進さんです。

今でこそ
地域をつなぐとか 生産者と消費者をつなぐとかいう
活動はあちこちではじまっていますけど、
おそらく地産地消もまだ「何それ?」な平成の頭ごろに
盛岡の住宅地に直売所をつくったのが、小島さんその人でした。

今から15年くらい前に一度、当時の情報誌でお話を聞いた
ことはありましたが、そこからの食や農業に関する
世の中の関わりかたはずいぶんと変わってしまったので
改めてお話を聞いてみたいと思っていた。

その願いを、「地から」で叶えていただいたのですが…

思いがけない、
本当に思いがけないことが起きてしまったのです。

以下、編集サトウさんの了解のもと
本文の一部を掲載します。


 …ゆっくりと語る口調には、未来が輝いていた。
「来年の春には店も再開しているでしょう」と笑顔で別れた道端に、秋草が夕陽を受けてそよいでいたことを何故かよく覚えている。

 小島進さん。

 岩手県における都市型農産物直売所の先がけとして、1995年盛岡市三ツ割にオープンした「八百よろず屋 小さな野菜畑」のオーナーであり、地域の小規模農家と消費者の橋渡しに奔走してきたひとだ。直売所は2018年11月末に惜しまれつつ閉店、市内大通のサンビルに出店していたカフェ「もっと小さな野菜畑」もそれから半年後にはたたんだが、地域や農業への思いはしぼむことはなく、2019年10月に行ったインタビューでは、来春に向けて新しい場づくりへのアイデアを語ってくれた。

 そんな小島さんが亡くなった。11月中旬に体調不良を訴えて緊急入院、そのまま意識が戻ることなく、11月28日に妻の智恵子さんら家族に見守られて68年の生涯を閉じた。


訃報は、SNSを通じてもたらされました。
当然ながら、あたま、真っ白です。
真っ白なままわたしはお通夜へと行き
そこでお会いした小島さんの奥様に、インタビューをしていたこと
記事掲載をお許し願いたいこと云々を、慌ただしく説明したのです。

だけど本心をいうと
たぶん、この企画は日の目を見ないだろうと諦めていた。

しかしそれから、
思いがけない出会いがあり、
記事を書けることになったのです。

昨年10月のインタビューは2時間を越すほどで、
小島さんの来し方からこの先やりたいことまで
じっくりと語っていただきました。

記事には、小島さんが考えていたことはもちろん
奥様や、小島さんを支えていたご家族のことも書いています。
紆余曲折はあったけれど、ご家族の思いに触れることが出来たのは
本当に大きかった。小島さんを違う視点で眺められたから。

おそらく、小島進さんへのインタビューとしては
「地から」が最後になったのではないかと思います。

「見果てぬ夢」というバトンを手に疾走し続けた小島さん。

ぜひ、その思いに触れていただければと思います。


ほかの記事も、ちらりと。


およそ「柿」の概念を変えてしまう
釜石市の「甲子柿」。


そうそう!これうまいのよ!
思わず膝を打った、
大迫の老舗菓子舗のシュークリーム。

そして。


著者近影(笑)
脇の「昔おやつ」が、わたしの全てを表現し尽くしている(泣)

 

ということで、見どころは尽きない「地から」
県内主要書店ほか
ウェブからも購入できるようですよ。
ぜひお手に取ってみてください。

 

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