「育つ家」、少しずつあちこちのお店や施設に
置かせていただいてます。個人的にうれしかったのは、
「紙の手触り、いいですね」という言葉を数多くいただくこと。
そんな些細な思いにも気づいていただけて本当に幸せ。
ちょっとサボりましたが、
WEB版「育つ家」の第二弾をお届けいたします。
在るものをどう活かすか、そんなプロセスの家づくりです。
———————————
ひとが集い、笑いながら喰らうこと。
ずっと昔から紡がれてきた、幸せのルール。
—盛岡市 吉田さんご夫婦
<第2話>
記憶を残しても暮らしやすさはあきらめない。
キッチンとリビングは思いきって手を加え、天窓や薪ストーブをしつらえた明るくモダンな空間とした。中央に見えるのは改修で現れたアカマツの梁。磨き直したのち、材がよく見えるように勾配のある屋形天井をつくった。
シンクと調理作業台、コンロはひと続き。
奥行きも十分、水平移動で下準備から調理まで一気にできてしまう。
神棚の下にあった押入れは来客用の食器棚に。
食器棚の裏側には水回りや寝室を経由して玄関に続く廊下があり、大広間とキッチンの間をぐるぐる回遊できる。
食器棚は取り出しやすいよう奥行きを半分にした。
半分残ったスペースも有効活用し、裏の廊下側にも食器棚を設けた。
飯碗、小鉢、拭き漆の汁椀。数の多さから来客の絶えない家だとわかる。
来客時に大広間とキッチンを結ぶ座敷「常居」。この部屋の壁に食器棚を配したのも、器の出し入れのしやすさという調理との連携を考えてのこと。
「東日本大震災のときは、位牌が倒れたぐらいで食器も割れませんでした。でもライフラインが止まり、不自由な暮らしを強いられました。
薪ストーブを入れたのと室内ドアを全て引き戸にしたのは、震災が教訓です。暖かくて段差のない家が希望でした。
引き戸は吊りタイプなんです。溝がないから掃除もしやすいし、たとえ車椅子生活になっても動きやすい。介護する方もされる方も楽ですよね」
昔も今も人が集う吉田家。
ご主人は、「誰が来ても招き入れるのが我が家のルール」とわらう。
リフォーム終了後には、通りすがりの人が「随分と変わったね」とふらり訪ねて来たこともあったとか。
「人を招くのは、長年、この地域の人たちに助けてもらってきたから。孫の代のことを考えていいことをやれ、というのが家訓なんです」
守り継ぐとは、繋がりを大事にすること。
繋がりを大事にすることが、次の世代を守っていく。
<第2話 終わり>
本コンテンツは、てとてのウェブサイトのほか
「株式会社ゆい工房」ホームページへもアップ予定です。
ミニサイズのリーフレットは県内で配布中です。